Foto © Satoshi Takae

東京の住宅密集地に単身者向けの個人住宅。仕事柄、さまざまな国に暮らしたことのある建主は現代のノマドともいえ、友人を招いたり、気ままに自分の時間を楽しみながら住む家を設計した。都会の中でキャンプをするように日常を楽しめる家は建主のライフスタイルにピッタリだと感じた。

敷地は間口の狭い接道面を除く三方を建物に囲まれており、周囲に大きく開口が設けられない条件の中で日中は膜屋根からの柔らかな光が入ってくる。優しい光に満たされる明るい2階のパブリック空間に対し、1階は寝室や浴室などプライベートな空間で、外光を絞り、穴蔵のように落ち着いて休み眠れる場所となっている。限られた敷地の中で外に庭をつくる代わりに光の入る吹抜けに樹木を植え、庭をつくった。室内にあることで窓外のガラス越しに見える樹木ではなく、直に植物に触れながら生活ができる。

屋根全体は柔らかな膜素材だから容易に実現できる3次元カーブになっている。屋根の二重膜構造は上膜、下膜、2枚の膜の間に構造体と断熱材を挟み込み、下膜を構造のカットティの2辺にカテナリーを描くように引っ掛け、半円型のライトチューブの並ぶ天井とした。ライトチューブの中の空気層は断熱層を形成すると共に重力換気により下から上に空気が循環し快適な室内環境を保つことができる。膜屋根は直に空は見えないけれど、光によって周囲の環境の変化を感じることができる。日が昇るにつれて段々と明るさを増し、夕方になると除々に赤く染められる。晴れた日と曇りの日での明るさが変化する。屋根が皮膚のように外界の変化を映し取り感覚的に伝えてくれる。

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膜屋根のいえ

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Sede
東京都, Japan
Anno
2022

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