Foto © Tomoyuki Kusunose

アイウエアブランド業界大手JINSのロードサイド店舗。

ECサイトでの買い物が日常化しつつある中、実店舗が持つ役割は、実物を手に取ることができる場所であることのほかに、身体的な体験を提供する場所へと変化させる必要がある。 そのためこのプロジェクトでは眼鏡の購入以外に、この場所を訪れることが目的となるような滞在型の空間やコンテンツを提案した。まず幹線道路沿いの店舗に多く見られる、前に駐車場、後ろに店舗という構成を変え、車は敷地を通り抜けて店舗後ろに配置した駐車場へ。そして緑のアプローチを通って、前庭から屋上テラスまでを立体的に構成することで新しい空間体験を生み出している。

敷地は東京から100km程離れた群馬県前橋市の中心街からさらに車で15分ほど離れた郊外。周辺は緑の多い住宅街で、遠景には県のシンボルである赤城山を望む。そこへ芝生と植栽に囲まれた前庭に赤城山の赤茶色と呼応する銅板葺の箱が浮いているような建物を配した。硫化処理された銅板葺の外壁は、太陽の傾きで刻々と色や表情を変えていく台形で構成された不思議な遠近感を持つ塊となり、店舗として目立ちながらも周辺の静かな雰囲気を壊さないよう配慮した。

多彩な植物が植えられたアプローチや庭を眺めながら店へ入ると、三角形の大階段と天井が斜め上へと視線を導き、その先に青い空が広がる。大階段はベンチになっており、店内や外の庭を望むことができる。大階段先の上には屋上テラスが設けられ、子どもが思う存分走り回れる広さに加え、腰掛けたり寝転んだりできる段々が囲む。

穏やかな季節には庭に面したガラス引き戸が大きく開放され店内が庭と一体化し、大階段の吹抜けを通って 屋上テラスへとそよ風を運ぶ。全ての場所がパノラマに広がる公園のように開かれた空間の中で、訪れた人々はピクニック感覚でお気に入りの場所を見つけて過ごせるようにと我々は考えた。

ここJINS PARKは眼鏡だけでなく、パンやコーヒーを販売する店舗を併設し、地域住民が主催するマーケットやトークイベントを開催したりと、公園の広場のような場所になることを想定して計画された。それらのコンテンツは連続的な体験として訪れる人に巡る楽しさを与てくれる。この店の外や中にある余白は、様々な体験やイベントを許容するおおらかな空間となるように設計した。

Foto © Tomoyuki Kusunose
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Foto © Daici Ano
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Foto © Daici Ano
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JINS PARK 前橋

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Sede
群馬県前橋市, Japan
Anno
2021

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