写真 © Nobutada Omote
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明るい窓

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場所
東京都渋谷区, 日本
2016

“窓”は、建築と街との関係を作る大切な要素の1つである。
しかし、実際に日中の街を歩きながら窓を見ると、外に比べて中が暗くガラスのきつい反射もあり暗く閉ざされているように見える。もっと外から見た時に親密さを感じるような窓の在り方はないだろうか。

学生時代に訪れたロンドンで不思議な体験をした。
ある通りを歩いていると窓が妙に明るく、建物の窓から通りに光が差し込んでいる。窓から中を覗くとそこは空き地であった。よく見ると道に面した外壁だけが残され、建物自体は解体されていた。道の両側の外壁の間に鉄骨を通して残された外壁を自立させていた。沿道の風景を残すための苦肉の策。どれだけ街並みを大切にしているかがわかる。逆転して外壁が道のインテリアであるとも言えるのだ。

この体験から通りに対して”明るい窓”を考えることにした。
代官山の商業エリアから住宅エリアに変わるちょうど境に立つ商業テナントビルである。閑静な通りに対して住宅とも見えるような等間隔に並ぶ"明るい窓"のファサードとした。敷地形状から建物の奥行きがそれほど深くないので背面をガラス張りとすることで背面の建物や空が道路側の窓越しに見え、光が通りに漏れてくる。構造的(S造)に道路側と背面で在り方が分かれている。壁面量の多い道路側の面にほとんどの力を負担させ、背面は開放的にするため垂直荷重だけを負担する細い柱のみとしている。

“明るい窓”、窓の在り方を考えるだけで街並みは少しづつ変わっていく。

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