山縣洋建築設計事務所

ご夫婦とお子さん2人の4人家族のための住まい。敷地はなだらかな南斜面にある閑静な住宅地にあり、道路沿いは緑が豊かな街並み。 もとの区画を2分割した間口の狭い奥行のある形状のため、道路側の南側部分と敷地の奥の北側部分で環境的な落差をなくすよう、大きな1つの庭ではなく3つの等価な庭を配置する方法を採用した。 道路側のアプローチの前庭、建物の中央にある中庭、北側にある奥庭である。メインのリビング、ダイニング、寝室からはこれらの3つの庭のうち必ず2つの庭の眺めが楽しめる平面構成とし、生活の様々なシーンでいろんな外部空間を身近に感じることができる家となっている。 地下1階から2階まで3層にわたる住まいだが、階ごとに空間が分断されず、なるべく一体感を感じさせるよう2つの仕掛けをつくった。1つは階段とスロープを組み合わせた垂直動線。視点の移動とともに様々な方向に視線が抜けていく。もう1つはバルコニーがある中庭。中庭の半分をバルコニーが覆うことにより、1階では屋根のあるテラス、2階では開放されたテラスの空間をつくり、この半外部空間を斜め方向に視線が抜けて1階と2階の空間をつないでいる。