Modelia Colors WAKAMATSUCHO
東京都, 日本
- 建築家
- 佐々木龍一/佐々木設計事務所
- 場所
- 東京都, 日本
- 年
- 2016
- 共同設計
- 奥村梨枝子/ATELIER O
大学や繁華街にほど近く、しかしながら独特の落ち着きを持つ住宅街、新宿区若松町に建つオフィスビルをシェアハウスに用途変更したプロジェクト。落ち着いた趣のある若松町は、江戸時代には商家や武家屋敷があったと言われる。地名は当地の若松が江戸城の正月用の門松として献上されていたことに由来しているそうだ。
この土地にシェアハウスを計画するにあたり考えたのは、どのような人々が集い、住まうのかである。
このシェアハウスとは、西側社会にあるいわゆるルームシェアではなく、ゲストシェアハウスであり、
昨今の日本では、金銭的な理由ではなく交流を求めて人はシェアハウスに集う。このような場所では似た感性や雰囲気を持つ人々が集まり、静謐でありながらも文化的で豊かに刺激を与え合って欲しいと思った。そのようなきっかけを作るべく、この建物に造形的及び色彩的テーマを与えた。
建物のプログラムとしては、エントランスが1階にあり、1、2階をプライベートゾーン、3階をテナントスペース、地階をパブリックゾーンと明確に区分けしている。パブリックゾーンを通らなくてもそれぞれの部屋にアクセスできることで、住まう人々が自身の意思で過ごす時間をデザインできるようにした。シェアハウスでありながらも、個々の静かな時間を持つことも、皆と楽しく過ごすことも選べる動線計画とした。そして、インテリアデザインから家具、照明器具に至るまで基本的幾何学形態である円、正方形を採用し、1階では円、2階では四角とし、地面に近い1階はグリーン、空により近い2階ではブルーをキーカラーとした。その中でも住まう人々の個性に対応すべく各部屋の扉の色は、少しずつ色味を変えてグラデーションにした。似た感性を持ちながらも、一人一人は異なることを表した。
住みたい場所を選ぶ際には、形態、色といった趣向が似ている者同士が緩い感じでつながりながら住まう。
また地下階は、線をテーマとしている。地下はラウンジやキッチン、ダイニング、シャワー室等の共用スペースで構成した。建物の中では、1、2階とは異なり、いわば人と人との交流の場となる。部屋の中央に、既存建物の天井高さを活か金属メッシュ天井から垂直のライン照明が吊り下げられているのが大きな特徴だ。ライン照明は垂直だけでなく、床と平行な部分もある。照明器具の密度と共に、垂直方向である箇所は人々の活動が能動的なところ、平行な箇所は受動的なところとして空間のキャラクターを照明により位置づけている。これにより、パブリックゾーンにおいても自身の身の置き方を選ぶことができるという試みだ。
関連したプロジェクト
Magazine
-
Other Ways of Making Books
1 day ago
-
It Was Fifty Years Ago Today...
4 day ago
-
‘Every Building Tells a Story’
5 day ago