京都しるく

京都市, 日本
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
写真 © Yoshiyuki Hirai
図面 © Keiichi Hayashi Architect
建築家
林敬一建築設計事務所
場所
京都市, 日本
2009

京都市の中心地の小さな町家を店舗へと改修する計画である。もともとの建物は老朽化が激しく安全な強度を満たしていなかったため、構造の補強が必要であった。そこで2階建ての建物の1階において、既存の木造フレームの短辺方向にごく薄い鋼製のフレームをその内側に固定し、2階床面は水平剛性を確保するために構造用合板を貼った。いわば建物の中に鋼製の足と木製の天板からなる巨大なダイニングテーブルを設置するような補強方法である。
典型的な町家は「みせ」「にわ」「通りにわ」からなる。「みせ」は室内の生活スペース、「にわ」は屋外の極小の自然、「通りにわ」は半屋外の吹抜け状の通路兼作業スペースである。今回の計画では、このオリジナルの町家の空間構成に店舗としての諸機能を当てはめる方法をとった。設計のスタディを重ねるうち、都市の狭小地における建築として、通りへの接し方、自然の取り込み、通風や採光、人の動きやプライバシーの取り方などにおいて、町家の構成が新たなプログラムに対しても最適であることが確認できたからだ。
この店舗は美容雑貨の販売店である。販売スペースを計画するにあたって心がけたのは、商品を正しく客に認識してもらうことであった。均質で硬質な光環境、簡素な陳列棚を計画し、決して商品が大げさに見えたりしないよう配慮を行った。販売スペースの奥はにわになっていて、客やスタッフが休憩するためのスペースである。同時に、販売スペースに小さな自然を取り込むための装置でもある。にわへは通りにわを通って、通りから直接アプローチできるようになっている。これら諸空間の関係性は、もともとの町家と何ら変わるところがない。建物の2階は事務室として使用される。

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