むさしヶ丘の住宅
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- 2010
福岡の都市部からほど近い、郊外の住宅地に建つ2世帯の家族のための住宅と陶芸工房の計画である。4面を道路に囲まれた広く開放的な敷地において、プライバシーを確保しつつもいかに周辺との関係性を生み出すことができるかが課題となった。
画建物は同形状の断面をもつ細長い2棟(工房棟・住宅棟)からなる。工房棟は道路と駐車場に向けて多くの開口部を持つ直線型のボリュームである。道路からは工房で営まれる創作活動やギャラリーの展示がうかがえる計画とした。対して住宅棟は、高い壁で道路からの視線を防ぎつつ、V字型に曲がったボリュームで囲い込まれた中庭に大きな開口を設けることで、塀を作ることなくプライバシーを確保した。
建物の断面形状は、最も流通している板材の定尺長さを基に決定された。建物内部には耐力壁を設けず、建具で仕切られた個室は、将来の家族構成や室用途の変更にも柔軟に対応できる。それぞれの部屋の天井は壁によって区切られることなく隣室と連続し、個室に居ても細長い空間ならではの開放感を感じることができる。
等間隔に頭上を横切る梁は構造材であると同時に照明器具であり、間仕切り建具の鴨居でもある。細長い間柱の奥に打ち付けた斜め張りの杉板は筋交いとして機能する。室内から見える木材のほとんどが構造材であり、構造と仕上を兼ねることにより、コストをできるだけ抑えながらも、ぬくもりのある木の空間が実現できた。
今回の計画地は主要道路の交差点に面しており、住宅街の中心となりうる重要な場所である。住宅とともにある陶芸工房はこの住宅街の風景を変えるランドマークとなり、創作活動を通じて人々と地域のネットワークを生み出す場となることを期待している。
所在地: 福岡県筑紫野市
構造: 木造1F
建築面積: 188㎡