Hotel CEN
プロジェクト一覧に戻る- 場所
- Shinjyuku-ku, 東京都, 日本
- 年
- 2019
新大久保に建つホテル&カフェ。敷地は海外からの旅行者にも人気のある新宿に隣接していて、都心の賑わいや喧騒の中にある。好立地だったが、周囲は魅力に欠ける雑多な環境であった。ホテルとしてのあり方に加え、前面道路とホテル棟の間にカフェと中庭を設けた。そこは道路とホテルのバッファーゾーンとなっていて、カフェは宿泊客以外にも解放され、利用者のコミュニケーションの場所として地域の変化や発展にも役立っている。
利用者はこのホテルで1日中のんびり過ごしたり、贅沢な食事をとったりすることはなく、主に休息のために帰ったり、旅の拠点としてこのホテルを利用する。そのため、各客室は最小限の広さにとどめ、代わりにカフェ&中庭を設けることで、ここでは街とプライベートのはざまのようなくつろいだ時間を過ごしてもらいたいと考えた。
客室は小さくても、ただ寝れれば良いというミニマムなホテルとは異なり、シャワースペースとベッドスペースはラグジュアリーホテルのようなくつろぎを感じられるよう工夫している。既製品のシャワーユニットを改良し、ガラス間仕切りの水わまりスペースにしたことで、部屋の圧迫感と、水まわりの閉塞感をどちらも解決することができた。
また、このホテルの居心地の良さ、落ち着ける雰囲気を作り出している重要な要素は素材感である。外壁には特注の黒レンガを用い、アプローチと中庭の床には敷石を敷いたことで、重厚感とヨーロッパの路地のような深みが感じられ、一歩通りからアーチの入り口をくぐると、周囲の雑踏を忘れ、落ち着いた雰囲気にひたることができる。エントランスや廊下も同様に黒を基調としたデザインの中にアートやオリジナルのサインをインテリアのアクセントとし、スタイリッシュな都会の雰囲気を出している。一方、客室は白と一部コンクリート打ち放しのシンプルな空間に、木製の家具やタイル、カーペットなど素材感を加えることで、居心地の良さ、温かみをもたせた。
カフェ&中庭を持つ構成と素材感のある空間という二つの特徴により、従来のラグジュアリーホテルともミニマムなホテルとも違った、使い勝手の良さと居心地の良さを両立させたホテルとなった。好立地を活かした新しいホテルの在り方や可能性を提案することができたのではないかと思う。
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