2階小上がりからキッチン越しに東側の家並みと遠くの山まで連続する緑を望む。鎌倉の小高い丘の頂に建ち、方形屋根の中に納まるかのような2階は4方にそれぞれ特徴的な景色に合わせた開口を設置。中央の収納のコアが緩やかに場を仕切る。天井高は700~4,040mm。
写真 © TOREAL / Koji Fujii 2020
手前のベッドスペースを除き、1階は全面土間とし、着彩された間仕切り壁と共に建主が蒐集する美術品の背景となる。玄関ホールは玄関扉の内側にガラス壁とガラス戸を設置し、内外を繋ぐバッファーとしている。
写真 © TOREAL / Koji Fujii 2020
鎌倉浄明寺の家
プロジェクト一覧に戻る- 場所
- 神奈川, 日本
- 年
- 2019
古都鎌倉の小高い丘の頂。岩盤の表層を柔らかい土が覆う、この地域特有の地層が形成されている。敷地レベルは入口道路面より表層土分上がっている状態であったが、建物の部分のみ表層土を払い、基礎底盤を直接岩盤に置いた。入口道路から建物までのアプローチも表層土をかき分け緩やかに建物内の土間へと続く。単純な正方形の平面形状に構造的に安定した方形の屋根を架け、無柱の大屋根空間をつくった。
さらに土間の上に床を一枚加えて屋根を大地より少しもち上げ立体的な空間へと変化させた。2層部分は軒先側にいくほど天井が迫り、反対に中央は遥かに高い。方形屋根の架かる四辺それぞれは、山と谷、集落、そして空が広がる恵まれた環境で、それに呼応するように軒先をめくり上げ、景色の違う4つの間をつくった。めくり残した軒先四隅は、床を切り欠いて土間からの吹抜けとし、上下階を繋いでいる。
夫婦ふたりと猫2匹。人のためだけ猫のためだけの偏重した設えではなく、小さな箱の中に気配をも回遊する、それぞれが思い思いに過ごし共存できる空間を目指した。