岩国の家

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場所
山口県, 日本
2018

【4つの棟、4つの庭がつくりだす風景】
山口県岩国市の中心部近くに位置する閑静な住宅地。
敷地西側は多くの参拝客が訪れる神社が建ち、遠景に見える山並みも美しいため、この方位に建物を開放したい一方で様々な視線の交錯があること、さらに西からの強い日差しに配慮する必要がありました。建主の緑を眺めながら開放的に生活したいという要望も併せて、周辺環境と建築の多様なつながりを計画しました。
敷地の大きさから判断すると南側に大きく庭をつくることも考えられますが、諸室と庭との関わりに偏りができるため、まず採光、通風、周辺建物といった条件を考慮しながら建物を4つの棟に分けました。併行して4つの棟に「隣地との距離をとったゆとりある南庭」「塀に守られた西庭」「間接光を取り込み通風を促す北庭」「道路に開かれた路地庭」といった特徴ある4つの庭を棟とのつながりを考慮しながら配置しています。結果として棟と庭が市松状に連続していき、様々な視線から庭とのつながりが生まれました。さらに棟と庭をつなぐ廊下を南北に通すことで、日常の移動が4つの庭との密接な関係を持ち、幅にゆとりを与えることで外部テラスとひと続きの使われ方や、家具を配置して居室の延長としての使われ方といった、様々な行為を生み出すインナーテラスとしての役割を果たしています。道路に開かれた路地庭は西側接道面まで広げることにより、個の庭であることを超えて、周辺環境へ開かれた庭としてコミュニティを誘発しています。
建築が建ち現れて余白に庭をつくるのではなく、建築と庭を等価に扱いながら計画したことが、この住宅の豊かさにつながったのではないかと考えています。

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