西武渋谷店A・B館5階
東京都渋谷区, Japon
- Architectes
- 永山祐子建築設計
- Lieu
- 東京都渋谷区, Japon
- Année
- 2015
5FのA館婦人フロアとB館紳士フロアは感度の高い大人の女性、男性をターゲットとした新しい共通環境が求められた。もともとの環境は多くの百貨店の共通環境のように開放的でニュートラルな印象の空間であった。今回は路面店舗を作るようにあえて特徴的なコンセプトをたて、親密さを感じるよう、空間の分割、光の状態を一から考え直していった。
A館は宮殿建築を利用した美術館のような空間をコンセプトとした。宮殿建築の多くは部屋が連続する構成で、その連続した豪奢な空間を通り抜ける特別な体験が高揚感を生み出す。今回の売り場はステンレスのリングメッシュで作られた透けた壁で仕切られた連続する部屋で構成した。各々の部屋にテーマをあたえ、床の仕上げの色、白く光るシャンデリアによって部屋の特徴を作り出している。空間の印象を限定していた柱梁のグリッドをリングメッシュの効果によって消す事ができた。 B館は大人の趣味雑貨を含む沢山のモノが集積する場所である。モノの集積場として魅力的な博物館をコンセプトとした。古い博物館の構成要素として、“ガラスの陳列棚”“引き出し”“オブジェのような什器”“アーチ”などいくつかの特徴を抽出し、あえて高さもバラバラの特徴ある家具で構成する事でそれぞれの空間にリズムを与えた。陳列の仕方も博物館らしい新しい見せ方を売り場の方々と協議しながら考えていった。
光環境は暗い店内に対し、光る陳列棚の様に強弱をつけ、親密さを作り出している。 A、B館の連絡通路は既存のガラス天井のオーニングを取り払い、グラデーションのミラーフィルムを貼る事で、木製パーケットの床を天井に映し、万華鏡のような空間とした。
ただ買い物をするだけでなく、廻るだけで楽しめる空間。新しい体験、情報が得られる事でただ物を買う空間を超え、もう一度来たいと思えるような場を目指した。
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