加東市立加東みらいこども園
兵庫県加東市, Japon
- Architectes
- シーラカンスアンドアソシエイツ
- Lieu
- 兵庫県加東市, Japon
- Année
- 2019
子どもたちの領域を守りながら開く加東みらいこども園
この建物は、兵庫県加東市の旧嬉野公民研修所跡地に新設された、幼保連携型の認定こども園である。約10,000㎡の敷地を生かした大きな園庭が欲しいという要望を踏まえ、建築を4つの領域に整理して、大きな園庭を細長い4棟の平屋で囲む配置計画を導き出した。
車での送迎がしやすい東に管理棟、南面採光を生かした東西に長い幼児棟と乳児棟、西に厨房を併設した遊戯棟という構成である。屋根は軒の出が深い片流れ屋根で、日射制御を考慮して、南北に長い棟は西垂れ、東西は南垂れとしている。各棟の隙間は、嘴のように突き出した屋根を重ねて、園庭に面した軒下の縁側をループさせた。この回廊が4棟を繋ぐ主動線となる。
園庭に面した木製引戸をすべて開放すると、内外が連続した生活・学習環境となる。教室間は、水回りと引戸で区画し、約1.2mの高さから天井までをシースルーにしている。この断面構成が、教室ごとのまとまりと、大きな天井面による空間の広がりという両義性を与え、教室間の連携も図りやすくしている。また、将来的な用途変更も視野に入れた建築を求められたため、構造は純ラーメンの鉄骨造とし、改修の自由度を高めている。
外の活動領域には、大きく4つの性格を持たせた。様々な催しや幼児の活動領域となる大きな園庭、乳児専用の静かな庭、多目的室と子育て支援室に面する「まちかど広場」と名付けた地域の子育て世代が気軽に立ち寄れる広場、「ぼうけんの庭」と名付けた高低差のある地形を活かして、遊戯棟と乳児棟の隙間からすり鉢状に下る庭である。大きな園庭と幼児棟の北側には、既存の高木をシンボルツリーとして残した。
各棟の隙間から、子供たちの元気な活動風景と周辺地域の様子が相互に見える。子供たちの領域を守りながら開く、地域との関係が密接なこども園を目指した。今春開園した加東みらいこども園が、その名の通り、子供たちの明るい未来を築く場となることを楽しみにしている。
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