新たな地平への統合に向かって

建築の制作とはそれ以前の総体を解体し、新しい地平に向けて全体を統合する行為である。新しく挿入される建築は、新たな意味を場所に付加し、以前から存在する意味を変形させていく。いわば建築の歴史とはそうした再統合への絶えざる進化の繰り返しに過ぎない。

イメージの具現化とは新たな地平への統合の道筋である。

場所には人間が生きるという行為が集約され、空間化が求められる。空間化によって人間の活動は具現化される。建築とはそうした行為の産物である。

私にとって、建築の思考とは人間の活動の総体であり、人間がどう生きるべきかが記述される哲学そのものである。

建築とは思考の結晶化に他ならない。思考はイメージとなって、その姿を視覚的に現す。このイメージは現実に存在していない唯の像であるが、ヴィジョンとなることにより現実を変革させる恐るべき力を持っている。

ヴィジョンは、実体として現実化するため、到達点である最適の姿を求めて、そこに向かう流れに沿って、さらなる思考を編みこむ。

設計とはイメージを実体へと進めようとするさらなる具現化の行為である。

イメージは寸法やマテリアルを伴い、その姿をより鮮明に示すことを求め、建築は現実と調整し場所に寄生する。主題は現実と対峙し、実体化していく。

部分は全体との関係の中でその本来の位置を探し出し居座る。全体から細部へ、そして細部から全体へと。夢と現実、外在する場所と内在する空間、周辺と中心、建築とはそうした双方向に流れる思考の結晶化として存在する。

なぜなら、建築が存在する理由とは、それ自身だけでなく、全てを記述するものであるということに他ならないからだ。

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