須賀川市民交流センター tette
福島県須賀川市, Japan
- Architekten
- 畝森泰行建築設計事務所
- Standort
- 福島県須賀川市, Japan
- Jahr
- 2019
- 共同設計
- 石本建築事務所
街と人をつなぐ建築
東日本大震災の復興事業として福島県須賀川市につくられた複合施設である。震災によって甚大な被害を受けた街の中心地に図書館などの生涯学習、子育て支援、ミュージアムなど複数の機能をもつ活動の場をつくることで、失われた街の賑わいと市民交流の再生を目指した。
歴史ある目抜き通りに面する敷地に、周囲の民家に配慮しながらスラブ(フロア)を細かく分け、少しずつセットバックしながら積層している。スラブをずらすことで外部には多くのテラスが生まれ、人々が街に向かって活動する場となり、また内部に生まれる吹き抜けはそれぞれのフロアを断面的、視覚的に繋いでいる。施設のエントランスである1階は約2.5mある敷地の高低差を結んだスロープ状の空間とし、坂の多い須賀川の街が入り込んでくるような開放感のなか、待合いやカフェ、イベントスペースなどを設けた。
多くの市民ワークショップを経て、機能区分を超えた有機的な建築を目指した。明るい交流スペースや静かで落ち着ける読書コーナー、立体的な遊び場や縁側のような軒下スペースなど様々な居場所をつくり、それら施設全体に図書を配置している。上階も各フロアを緩やかな階段やスロープで結んでおり、街を歩くように建物全体を巡ることができる。
多様な活動を支えるメガストラクチャー
この複雑な空間を実現するため、3、4階のフロアをトラス構造によるメガストラクチャーとした。それによって跳ね出た下階の床を吊り上げ、また上階の柱位置を切り替えて支える。さらに、トラスの懐を活かして空調機械の設置スペースや火災時の排煙ルートとするほか、下階騒音の吸音層となり、上階の静かな図書環境を守っている。これら異なる機能と構造によるフロアが様々に宙に浮かび、市民の多様な活動を支える。
複合施設から融合施設へ
施設のメイン機能(図書館、公民館、子育て支援)を従来的な区分から「まなぶ」「つくる」「あそぶ」などの動詞的、活動的な9つのテーマに分類し直した。イメージしやすく、分かりやすいテーマとすることで、多くの人が目的以外の知識や情報、人と出会い、交流が生まれるきっかけをつくりだしている。さらにその9つのテーマに関連して施設全体に図書を配置することで、施設全体が図書館であり公民館であるような、情報と活動が融合する新しい公共空間を目指した。
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